<Theosophical Conference 2017, Osaka> 第1セッション 文学と秘教思想 第3発表 1st session LITERATURE AND ESOTERICISM 日時:2017年3月7日1時半〜3時半 Date and time: March 7, 2017, 1:30 pm – 3:30 pm 場所:国立民族学博物館第4セミナー室 Venue: Seminar Room 4, National Museum of Ethnology, Osaka 発表者:田中千惠子 Presenter : Chieko TANAKA 題目:『フランケンシュタイン』とヘルメス思想(英語発表、通訳あり) Title : Frankenstein and Hermetic Philosophy (English, with an interpreter) 概要: イギリス・ロマン主義作家、メアリー・ウルストンクラフト・シェリーの三巻本の小説『フランケンシュタイン—現代のプロメテウス』(1818、1823、1831) の最も重要なテーマは「ダイモン」の生命創造である。この驚異の生命創造については、これまでハンフリー・デイヴィの『ケミカル・フィロソフィーの原理』やルイジ・ガルヴァーニの「動物電気」など、近代科学との関連が論じられてきた。しかし一方で、パラケルスス、アルベルトゥス・マグヌス、コルネリウス・アグリッパという、錬金術、自然魔術に精通するヘルメス主義的思想家が生命創造の鍵を握る人物であることも指摘されてきた。拙著『「フランケンシュタイン」とヘルメス思想—自然魔術・崇高・ゴシック』で示されたように、『フランケンシュタイン』のテキスト・草稿には、錬金術・自然魔術が登場する。現代のエソテリシズム研究が示すように、錬金術・魔術は西洋エソテリシズムという長大な思想潮流を母体として発展してきた。しかし、これまでの文学研究では『フランケンシュタイン』の錬金術・魔術は単に文学的比喩としてしか取り上げられず、その思想的根幹であるエソテリシズム思想の観点からは十分に分析検討されることはなかった。M・H・エイブラムズはその啓蒙的大著『自然と超自然—ロマン主義理念の形成』においてエソテリシズム思想、ヘルメス思想がロマン主義に与えた深甚な影響を論じている。西洋エソテリシズムの伝統は、これまでヨーロッパ文学に大きな影響を与え、ロマン主義運動にも影響を与えてきた。また、ヘルメス主義は19世紀においても、その影響力を失わず存続してきた。本発表では、最新のエソテリシズム研究の成果を踏まえ、『フランケンシュタイン』における生命創造をエソテリシズム思想の光のもとで分析検討し、主人公ヴィクター・フランケンシュタインの生命創造の背景には、アグリッパの自然魔術が潜んでいることを明らかにするとともに、ヴィクターの生命創造の衝動の源泉としてヘルメス主義(錬金術・魔術の思想的根幹)がいきづいていることを例証し、文学とエソテリシズムの緊密な関係に光をあてる。 …
Chieko Tanaka [Theosophical Conference 2017, Osaka] Read More »